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概要

美術と感慨

演劇と良く似た表現方法に映画がある。両者の大きな違いのひとつはライブであるか記録された映像かという単純な違いであるが、このことが両者を決定的に分け隔てているのである。つまり、演劇は「定点観測」であり、観客は目の前の「空間」で展開される物語に注目する。また製作的な視点から見ると演劇が開幕と共にノーカットで演目を進行し閉幕するのに対し、多くの劇映画は細かくシークエンスを刻んで撮影した上で編集をかける点があげられる。このことから演劇においての失敗(台詞忘れ、スタッフの見切れなど)は修復が効かない。また演技方の面から見ても、映画創世記に発明されたズームなどの演出手法は演劇に応用することは難しいため舞台役者はよりダイナミックな演技を求められることが多い。

俳優の演技の他、様々な芸術表現を組み合わせ調和と協調をはかり、演劇作品は作られていく。それゆえに、演劇は総合芸術の一つとして捉えられている。用いられる芸術分野は多岐に渡り、音楽や舞踊、舞台音響・舞台照明や舞台美術、時には舞台機構や劇場となる空間そのものなど建築デザインの範疇にまで至る。演劇のために劇作家が執筆する戯曲は、それ単体でも文学作品となりうる。

同じ演目であっても、上演するたびに、俳優のセリフ回しや「間」の違い、掛け合いのタイミング、動きなどが少しずつ異なるものとなり、観客集団も毎回違うため反応も様々で、その反応によって俳優の演技も変化し、時には思わぬハプニングも起こるなど、まさに演劇は「生き物」であると言える。また上演期間内にも演出家による「ダメ出し」があったり、観客の反応を見て変更される箇所があったり、俳優自身もより良いものにしようと日々努力するため、特に複数回鑑賞する場合、映画鑑賞とは違った楽しみ方ができる。

上の項と関連して言えば、人形劇というのもある。演じるのは必ずしも人間でなくてもよいわけである。例えば、日本はマンガがそれなりの文化として内外で認められつつあるが、絵画による演劇と見なすこともできよう。「絵画劇」と呼ぶこともできよう。劇画という言葉はその辺を意識して造語されたのかもしれないが、後に、重厚でリアルタッチな絵柄のストーリー・マンガを指すようになっていった。劇画とマンガの間にあるのは、もはや絵柄(小説で言えば文体)の差くらいしかない。現代において、演劇と言ったら、舞台の上で人間が演じるものを指すのが一般的だが、劇映画も演劇、テレビドラマも演劇、劇画も演劇というように拡張されうる。

演劇と台所用品

演劇に使う小道具は基本的に舞台設定者の手作りのモノが多いが、こと台所用品に限っては本物を使う場合が多い。その理由は、もちろん実際のものを使うことでのリアリティを出すという理由も大きいが、安く手軽に手に入り、しかも丈夫で壊れにくいという点が一番の理由であろう。言われてしまえば当たり前のことかもしれないが、例えば子どもたちの演技機を見る機会があると、皆一様に台所用品を手作りしている。それは、やはり大きさを誇張して劇の盛り上がりに役立てようとする工夫だと考えられるが、実際は実物大の大きさでもさほど伝わり方は変わらないものである。


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